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株式交付制度の創設

株式交付制度の創設

株式交付制度という今回の改正により追加された制度について解説します。

株式交付制度は、 株式会社(買収会社)が、他の株式会社(被買収会社)を子会社とするために、自社株式を他の株式会社(被買収会社)の株主に対して交付することを 可能にする制度です。

買収会社と、被買収会社の株主との間で、買収会社が自社株式等を被買収会社の株主に付与し、一方で被買収会社の株主が自身の有する被買収会社株式を、 買収会社に付与するような取引です。株式交付については、新法2条32号の2に定義規定が存在します。

旧法下では、自社株式対価として他の会社を子会社化する手段は、株式交換がありますが、これは完全子会社化するためのものでありニーズが限られます。
一方で、自社の新株発行に他の会社(被買収会社)の株式の現物出資といった手法をとる場合には、検査役選任など、手続が複雑でコストがかかる、という問題点がありました。
今回設けられた株式交付制度は、完全子会社化を予定していない場合であっても、株式会社が他の株式会社を子会社とするために、自社株式を交付することを認める制度です。

株式交付制度は、新法774条の2から774条の11、811条の2から816条の10において規定がなされています。

株式交付制度には、「株式交付親会社」と「株式交付子会社」という会社類型が新設されています。 「株式交付親会社」とは、株式交付をする会社をいいます(新法714条の3第1項かっこ書)。つまり、 自社の株式等を対価として、対象会社を子会社化しようとする会社です。
「株式交付子会社」とは、「株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式を発行する会社のことをいい(新法714条の3第1項かっこ書)、 被買収会社のことです。

株式交付の流れ株式交付の流れ

株式交付親会社は、株式交付計画を作成

株式交付計画について備え置きおよび閲覧等の措置

株主総会特別決議による承認を得る

株式交付親会社は、株式交付に申し込みをしようとする者に対して、株式交付親会社の商号や株式交付計画の内容等について通知

株式交付に申し込む株式交付子会社の株主が書面で申込み

株式交付親会社は、申込者の中から、株式を譲り受ける者・その者に割り当てる株式交付親会社の株式の数を定める

株式交付親会社は、効力発生日の前日までに、申込者から譲り受ける株式の数を申込者に通知する

通知を受けた申込者は、株式交付子会社の株式の譲渡人となる

株式交付子会社の株式の譲渡人は、効力発生日において、株式交付親会社から通知を受けた数の株式交付子会社の株式を、株式交付親会社に対して給付する

株式交付子会社の株式の譲渡人は、効力発生日において株式交付計画の定めに従い、株式交付親会社の株主となる

まず、株式交付を行う場合、株式交付をする会社(株式交付親会社)が、株式交付計画を作成する必要があります(新法774条の2)。
株式交付計画においては、株式交付子会社の商号および住所(新法774条の2第1号)、株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式交付子会社の株式の数の下限 (新法774条の2第2号)、株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の譲渡人に対して当該株式の対価として交付する株式交付親会社の株式の数(新法774条の2第3号) など、新法774条の2各号の事項を定める必要があります。

株式交付においては、株式交付親会社の株式を付与することが必要的ですが、それに加えて金銭等を対価として加えることもできるものとされています。
金銭等が対価として付加された場合、後述する債権者異議手続の対象になることがあります。
また、株式交付の取得対象として、株式が含まれることは必要的ですが、そのほかに新株予約権や新株予約権付社債の取得も加えることができます

なお、新法774条の2第2号の、取得する株式交付子会社の株式の数の下限は、子会社とするのに必要な株式の数を下限、 すなわち議決権の50%以上を下限として行わなければなりません (新法774条の3第2項)。

まとめると、取得の対価として株式交付親会社が交付できるものは株式交付親会社の株式(必要的)、金銭等(付加可)、であり、取得の対象は、 株式交付子会社の株式(必要的)、新株予約権(付加可)、新株予約権付社債(付加可)、ということになっています。取得は、株式交付子会社の50%を下回ることができません。

次に、株式交付計画について備え置きおよび閲覧等の措置を取ったうえで(新法816条の2)、 株主総会特別決議による承認を得る必要があります (新法816条の3第1項・309条2項12号)。なお、備え置きおよび閲覧等の措置については事後のものも存在します。

株式交付親会社は、株式交付に申し込みをしようとする者に対して、株式交付親会社の商号や株式交付計画の内容等について通知する必要があります(新法774条の4第1項)。
株式交付に申し込む株式交付子会社の株主は、申込者の氏名等の情報及び譲渡しようとする株式交付子会社の株式の数の情報について、 書面で、株式交付計画で定められた期日までに交付する必要があります(新法774条の4第2項)。

申し込みを受けた株式交付親会社は、申込者の中から、株式を譲り受ける者及びその者に割り当てる株式交付親会社の株式の数を定め(新法774条の5第1項)、 効力発生日の前日までに、申込者から譲り受ける株式の数を申込者に通知する必要があります(新法774条の5第2項)。
割り当てに際しては、募集株式の発行と同様に割り当て自由の原則が妥当することになります。

なお、株式交付計画において定められた取得下限に満たない場合、割り当て及び通知の規定の適用はなく、申込者に対して株式交付をしない旨を遅滞なく 通知しなければならないとされています(新法774条の10)。

新法774条の5第2項の通知が行われた申込者は、株式交付における株式交付子会社の株式の譲渡人となります(新法774条の7第1項1号)。
譲渡人となった場合、効力発生日において、株式交付親会社から通知を受けた数の株式交付子会社の株式を、株式交付親会社に対して給付する必 要があります(新法774条の7第2項)。
この給付をした株式交付子会社の株式の譲渡人は、効力発生日において株式交付計画の定めに従い、株式交付親会社の株主となります。

これらが株式交付の一連の流れです。

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